建新ブログ BLOG
2024.06.28
- カテゴリー 新卒ブログ
地震に強い日本の木造住宅~建築部での研修を添えて~
こんにちは!川崎店の樺島です。
以前休日の過ごし方に関するブログを書いた際は、建築部での研修期間でしたが、6月に入ってからは、土木部で研修を受けています。
建築部とはまったく違った視点で学ぶことが多く、苦戦することも多々ありますが、新しいことの連続で面白く、苦戦しながらも様々なことを吸収出来るように、残りの研修期間も頑張っていきます。
さて、今回のブログでは、現在学んでいる土木部での研修について書かせて頂きたいところですが、今回は私自身が大学生の時に作成した日本の住宅に関わる卒業論文に触れながら、建築部での研修を通じて撮影した写真と共に、木造住宅と地震に関することを紹介します!
(https://www.photo-ac.com/main/detail/29819264?title=%E6%9C%A8%E9%80%A0%E4%BD%8F%E5%AE%85NM01
閲覧日:2024年6月14日)
まず、この下記の写真中央に写っている斜めの部材をご存知でしょうか?
これは「筋交(すじかい)」という名前の部材で、耐震性向上など柱の間で補強をする役割を担っています。筋交は、在来軸組工法という木造住宅の工法で使用します。
以前は金物などを使わない伝統工法という工法が主流だったのですが、明治期に入り、日本が欧米化を政府が推し進めていったこときっかけとして、欧米の技術が取り入れられるようになり、現在多くの木造住宅で用いられている金物を使った在来軸組工法への変化につながっていきました。
技術の発展によって、今では当たり前になっている筋交を用いた耐力壁やコンクリートの布基礎、金物などで接合部を補強するように変化しました。
(在来軸組工法に関しては、先輩社員の方のこちらのブログをぜひご覧下さい!
https://www.kensin-inc.com/blog/2022/07/18/ )
私は、大学時代に日本の住宅に関わる卒業論文を書き、建築技術の転換期について着目していました。その際に学んだ、在来軸組工法が世間から見なおされた歴史上の出来事についてピックアップします。
それは、明治時代に起きた1894年の明治東京地震という震度6ほどの大きな地震です。
当時の様子を記述した本には、このように書かれています。
『六月二十二日(東京)
午後2時頃、ひどい地震。もう一揺れで、東京全市の半ばが廃墟となるところだった。
さほど強固に建てられてはいなかった石造やレンガつくりの家屋のみがやられ、奇妙にも、特に公使館が全部やられた。自宅では幸いにも(私や家族は)無事だった。
日本式と半洋式の木造家屋は、最も被害が少なかったことがわかった。これは住宅建築上、一つの教訓になることと思う。』
(エルウィン・ベルツ,菅沼竜太郎 「ベルツの日記(上)」1979年,岩波書店)
当時の状況を知るお雇い外国人の方から見ても、1890年代頃の日本の木造住宅は地震に対する強度が強いものであり、
技術発展の前に起きた震度などがほぼ同じ条件の1854年の安静の江戸地震と比べると、被害数が大幅少なくなっている記録が残っていたため、木造住宅における在来軸組工法への発展は、地震対策に大幅な貢献していると言えます!
その後も法律改正があり、1981年には、1978年の宮城県沖地震の被害が大きかったことをきっかけとして、新たな耐震基準が設けられたり、
1995年の阪神・淡路大震災では、新たな耐震基準があっても、その基準に満たない古くからの木造住宅の地震による多くの被害を出たことをきっかけとして、耐震改修促進法が制定され、耐震診断の報告義務化などが設けられました。
今も続く建築における度重なる法律の改正によって、日本の木造住宅は、さらに強い建物になっています。
今回取り上げた在来軸組工法は、建新の木造住宅にも取り入れられており、先月の建築部の研修では、筋交以外にも柱に取り付けられている金物などを近くで見ることが出来ました。
昔の伝統工法では、住宅全体が結合部分をパズルのように木材同士でつなぎ合わせていたのですが、在来軸組工法にあたっては写真のように金物が用いられています。
右の写真はホールダウン金物と言って、先ほど挙げた阪神淡路大震災をきっかけに設置されるようになりました。
基礎と柱や柱同士などをつなげる役割を担っています!
今回ブログでは、私自身の卒論の一部と研修の中で撮影した写真を通じて、日本の木造住宅の地震に対する強さについて紹介しました。
卒業論文を作成していた時点では、言葉と写真しか知らなかったことを、実際に自分の目で間近に見ることができたため、建築部での研修の経験は非常に貴重なものになりました。
そして、建築部での研修のように、残りの土木部での貴重な研修期間も、自分にとって有意義なものにできるように頑張ります。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
また次回のブログもよろしくお願いいたします!
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